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ユーステストと模擬実験

プロセス化学

みなさんこんにちは!


本日はスケールアップ前に必須の実験である、ユーステスト模擬実験(シミュレーション)について解説します。


プロセスに慣れている人にとっては常識かもしれません。


まずはユーステストについて解説します。


みなさんはラボ実験での溶媒や試薬はどこのメーカーのものを用いているでしょうか?


WakoやTCIなどのメジャーな試薬メーカーから購入しているのではないかと思います。


実際の製造では、これら大手の試薬メーカーのものを使用する場合もありますが、基本的には違います。


溶媒であれば数百から数千リットル、反応剤であれば数キログラム以上の単位で購入するのが基本です。


このような単位で安く販売しているメーカーから原材料を購入して製造に使用します。


ラボではWakoなどのメーカーのものを使用していたのにも関わらず、実際の製造でいきなり違うメーカーのものに切り替えるということは基本的にはしません。


分析では観測できない細かい不純物が反応に大きな影響を及ぼす可能性があるからです。


実際に製造してから不純物が入っていたと気付いても後の祭りです。


そこで必要になるのがユーステストです。


ユーステストとは、実製造で使用する原料、溶媒や試薬を用いてラボでおこなう実験のことです。


事前にラボスケールでメーカーを変えたことによる影響を確認することで、大スケールでの失敗を未然に防ぎます。


筆者の経験では、主原料は特に注意が必要です。


主原料をいきなり大スケールで切り替えるということはよほどのことがなければしませんが、ラボ検討において注意する必要があります。


これまでは含まれていなかった不純物が急に含まれていたり、従来の色と違ったりと様々なことがあります。


その原料を使用する工程だけで評価するのではなく、最終原薬まで導いて影響を確認する必要があります。


その反応では除去できなかった不純物でも、後工程で除去される可能性がありますからね。
着色についても同様です。



もう一つは模擬実験についてです。


これは大スケールでの操作時間を意識して実施する実験です。


大スケールではラボ実験と比較して操作時間が格段に伸びます。


ある反応において、ラボではすぐに昇温されるため問題なかった反応が、
大スケールでは副反応が優先してしまったということが起こります。


これは低温で副反応が選択的に進行する場合に起こります。


大スケールで昇温操作に時間がかかり、低温でいる時間が長かったために、望みの反応よりも副反応が進行してしまうのです。


こういった問題をラボで確認するために模擬実験をします。


大スケールでは各操作に何時間かかるのか、製造部門のオペレータと連携をとりながらデータを取得します。


一度水や溶媒(余裕があれば)を釜に入れて実際に昇温、冷却操作をすることで時間を計測することもできます。


濃縮時間も注意が必要です。


ラボではエバポレータを用いてすぐに溶媒を留去できますが、実際の釜ではそうはいきません。


濃縮時間はある程度計算で求めることができます(ざっくりですが)。


ラボでも、あえてゆっくり濃縮し、その間生成物が安定であることを事前に確認しておくことをお勧めします。


昇温・冷却操作、濃縮操作について具体的に述べましたが、実際の製造ではどういった操作をするのかを常に意識してデータを取得することが重要です。


そのためには、一度製造現場に立ち会うことを強くお勧めします。


想像するだけでは限界があります。


私も一度製造の立ち合いを経験してから、ラボ実験での意識が変わりました。


この操作は製造ではできないな、こういったデータがあったほうがオペレータは安心して操作できるな等を意識することができます。


ユーステスト、模擬実験を実施し大スケールでの失敗を未然に防ぎましょう。


本日も読んでいただきありがとうございました!

プロセス化学
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コメント

  1. b2l27y

  2. Ну и хорошо

  3. Thanks for the info i will know

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