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工程の最適化-1

プロセス化学

みなさんこんにちは!


本日は、最適化のためのデータ採取について解説します。


製造は基本的に


反応、抽出、濃縮、晶析、ろ過、乾燥、粉砕という工程を経ます。


前半の反応、抽出、濃縮は基本的に液体を取り扱うのに対し、


後半の晶析、ろ過、乾燥、粉砕は固体を取り扱います。


あくまで筆者の考えですが、反応と晶析が重要な工程と考えます。


目的物の生成を最大限にし、不純物の生成を最小限にする反応条件を設定することができれば、
その後の工程での不純物除去を考慮する必要性が下がり、楽になります。


不純物の最も良い除去方法は晶析です。
目的物を固体として晶析させ、不純物は液部分に除去します。
この晶析により不純物が最大限に除去される条件を見出すことができれば、品質の良い生成物を得ることができます。


反応と晶析条件を最適化することにより高純度の生成物を得ることができるため、
この2つの工程が特に重要と考えます。


今日の記事では前半の液体を取り扱う工程の最適化のためのデータ採取について解説します。


反応工程
先にも少し述べましたが、反応条件の最適化とは目的物の生成を最大限にし、不純物の生成を最小限にすることです。
そのためには、まず反応のメカニズムを理解することが大切です。
メカニズムを明らかにし、そのメカニズムに適合する最適な試薬や溶媒を選択します。
メカニズムの解明は、反応温度や試薬の添加方法などの最適化につながります。

プロセスには何をするにも時間がかかります。
目的物が最大限生成した後に、その反応条件に付し続けることで分解してしまう可能性もあります。
そういったことが起こらないよう、その条件下での目的物の安定性データを取得します。
最大操作温度よりも少し高めの温度で攪拌を続け、不純物プロファイルの経時変化を追います。
少し高めの温度というのがコツで、そうしておけば自信を持って操作温度範囲内では目的物は安定であると言い切ることができます。
後処理方法を選定するために、目的物が酸・塩基に安定であるかを確認します。
適当な酸・塩基を選択肢、少し長めに撹拌し、経時的なデータを取得すれば十分だと思います。


抽出工程
抽出操作の最適化とは、目的物の抽出率と不純物の除去率を最大化することです。
そのための基本的なデータとして、目的物と不純物それぞれの有機層と水層への分配率が必要です。
様々な有機溶媒でスクリーニングし、目的の分配率になる溶媒を選定します。
このとき、有機溶媒は一種類である必要はありません。
有機溶媒を組み合わせることにより、最適な抽出溶媒を選定できることもあります。
また、いくら分配率が良くても分層に時間がかかるようでは好ましくありません。
ラボで分層性が悪い場合は特に注意が必要です。
実機スケールで実施すると分層に数時間~数日かかってしまう可能性があります。
食塩を足したり、温度を上げたりすることで分層性が改善されることがありますので、ぜひ試してください。
抽出工程でも安定性データの取得が必要です。
長時間撹拌したり、保存した場合の安定性データを取得します。
このとき、pHを測定しておくことで再現性の取得に役立ちます。


濃縮工程
濃縮には非常に時間がかかります。
ラボではエバポレーターを用いてすぐに濃縮できると思いますが、実製造ではそうはいきません。
長時間かかることを見越して安定性データを取得する必要があります。
目的物の熱的安定性データを考慮して、濃縮時のジャケット温度を決めます。
濃縮終了時の水分量であったり、溶媒組成比であったりが後の晶析工程に影響する場合は注意が必要です。
濃縮終了を判断するための管理値を設定する必要があります。
(水分値が何ppmになるまで濃縮する、溶媒Aが1%以下になるまで濃縮するなど)
濃縮中の内温、外温や減圧度の経時的な変化をしっかりノートに残しておくことが再現性の良い濃縮工程の確立に繋がります。


以上、液体を取り扱う反応、抽出及び濃縮工程の最適化のためのデータ取得について解説しました。


大スケールでは何をするにも時間がかかるため、各ポイントでの安定性データが必要になることが特に頭に入ったのではないでしょうか。


操作温度は基本的に目的物の安定性を根拠に設定します。


基礎的なデータをしっかりと取得し、再現性のあるプロセス開発を目指しましょう。


本日も読んでいただき、ありがとうございました!

プロセス化学
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コメント

  1. vul6i2

  2. loto casino より:

    So be it

  3. Thank you very much for the information

  4. misli より:

    Thanks for the info i will know

  5. Thank you for the information

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