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工程の最適化-2

プロセス化学

みなさんこんにちは!


前回の「工程の最適化-1」の続きです。
http://eggman87.com/optimization-1/


本日は後半の工程である晶析、ろ過、乾燥、粉砕の最適化について解説します。



晶析工程
晶析工程の最適化とは、高い晶析率(収率)で、高品質で、ろ過性の良い晶析工程を開発することを言います。
高収率で目的物を得るには、溶媒種の選択が大切です。
目的物の溶解度が低ければ低いほど目的物の収率はあがります。
しかし、目的物が溶けないということは、類似の不純物も溶けないことが多いです。
その場合、高品質の目的物を得ることが出来ません。

品質と収率はトレードオフになることがしばしばありますが、目的にあった溶媒種を選択します。
目的物と除去したい不純物の溶解度をそれぞれ測定し、基礎データに基づいた操作(晶析温度や冷却速度など)を設定します。
濃縮晶析、押し出し晶析、冷却晶析や中和晶析などがありますが、目的化合物の特性に合わせます。
塩基性官能基や酸性官能基を有する化合物であれば、中和晶析による晶析が効果的なことがあります。
酸や塩基をスクリーニングし、目的にあった試薬を選定します(収率や品質など)。

晶析工程には品質に及ぼすパラメータが多く存在します。
溶媒量滴下時間撹拌強度晶析温度熟成時間などがあります。
接種する場合は種晶の量接種温度なども重要になります。
これらの基本的なデータを取得し、許容される範囲を把握する必要があります。

筆者の経験上、スケールアップでは撹拌に関する問題が多い気がします。
撹拌強度はもちろんのこと、羽の形状であったり撹拌状態(液の流動状態)がクリティカルである場合は注意が必要です。
実機と相似形である反応容器を用いて検討することをおすすめします。

晶析工程ではろ過性にも注意する必要があります。
微細な結晶は目詰まりを起こすことが多く、スラリーをチャージした後にろ過が全然進行しないという悲惨なことになりかねません。
溶媒を変えたり溶媒組成を変えたりして改善を試みます。
ある程度溶解度がある溶媒であれば、温度スイングにより結晶を大きくできる可能性があります。
また、晶析条件において目的物が安定であることを確認する必要があります。


ろ過工程
ろ過工程での最適化はあまりありません。
晶析工程でろ過性の良い晶析条件を設定することができれば、問題なくろ過できると思います。
ろ過後の結晶洗浄に関しては、洗浄液の量温度を検討します。
不純物が十分洗い流せているか、目的物のロスは多すぎないかを確認します。


乾燥工程
目的物の安定性を取得することが最優先です。
何度で乾燥したときに何時間まで目的物が安定であるのかを把握する必要があります。
残留溶媒や水分がどの条件であれば低減するのかを検討します。


粉砕工程
目的粒子径が設定されている場合は、粉砕の検討を行います。
粉砕機により取得するパラメータは変わりますが、目的の粒子径を得るための条件を見出します。
粉砕機によっては熱が発生するものがあるため注意が必要です。
ここでも温度に対する安定性が重要になります。
また、粉砕時の熱や衝撃により結晶形が転移する可能性があることにも注意が必要です。



以上、主に固体を取り扱う工程の最適化検討について紹介しました。


あくまで一般的なケースを想定していますので、目的物によってはさらに様々なデータを取得する必要があります。


どんなデータがあれば安心して製造を実施することができるかを常に考えながら実験しましょう。


本日も読んでいただきありがとうございました!

コメント

  1. chcplay az より:

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  2. etopaz android より:

    Thanks for providing information

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  4. misli yukle より:

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